薬に頼ることを当院では否定しません。もちろん薬に頼らないに越したことはありませんが、現況は「不眠」で悩んでいるわけですし、実際にお医者さんに処方されているのですから、その指示に従うべきです。
「でも習慣化してしまうのでは？」と心配されるかもしれません。確かに何もせずに薬だけに頼ると習慣化してしまいます。しかし、体調が良くなってくれば自然に飲みたくなくなるし、飲むのを忘れてしまうものです。
「薬は駄目、駄目、駄目」と考えすぎないようにしましょう。
薬はあなたの人生で一生を委ねるものではなく、今の期間限定のお助けアイテムです。医師の指示通りに薬を服用したら、安心して床に就いてください。
※ただし、薬の服用は自己判断はせず、必ず医師・薬剤師の指示に従ってください。

「精神的なストレスが自律神経の働きを悪くする原因ではないの？」と思われる方も多いと思います。もちろん、精神的なストレスも自律神経の働きに影響はします。ストレスを感じれば血流も悪くなり血圧も上がり、筋肉も緊張しやすくなるのは事実ですし、世間一般的にも精神的ストレスが自律神経にもたらす影響は大きいと言われています。しかし自律神経の問題が全て精神的なストレスによるものではありませんし、精神的なストレスのすべてが自律神経の働きを悪化させるというのは間違いです。むしろストレスを感じなければ、人間は周りの環境に対応しようとしないため、生命を維持できません。精神的なストレスは不眠の大きな原因とはなりますが、世間一般的に言われているような自律神経の働きそのものを悪くする中心的な要因とはいえません。

今、あなたが強い悩みやストレスを抱えているとします。 その悩み自体は不眠の原因の一つですし、当院ではそのストレスを取り除くことはできません。

ただ、一つ言えることは、「脳」がしっかり働いていない状態では、その思考がマイナス思考に陥りやすくなります。ご存知の方も多いと思いますが、うつ病の方は脳血流が悪いことが最近の研究で分かってきています。つまり、「脳」の血流が悪く、その働きが低下していると、ストレスの原因となるストレッサーに対する耐性が弱く、打たれ弱いという傾向があります。そこで小さなストレスも大きなストレスに感じてしまい、不眠を悪化させてしまします。マイナス思考とは持って生まれた性格や、育った環境による教育の影響等もありますが、それだけではないのです。

不眠改善の鍵は、前述のとおり、「脳」の血流を促し、自律神経の働きを正常に戻すことです。
そのために「脳」を圧迫している脳脊髄液の流れを良くする必要があります。 眠るには「眠るた
めの体調」というのが必要です。「睡眠」「脳(自律神経)の働き」「体調」というのは因果関係でいえば、互いに影響しあっています。この悪循環を断ち切らなければなりません。 また、精神的にも「気にしない」ということが大切です。「そんなこと分かってる」「分かっていてもできない」と思われるかもしれません。ただ、ストレスの原因を気にしない･･･ということはすぐには無理だったとしても、「眠れないことを気にしない」ということは可能だと思います。
「一生続くかもしれない」という不安もあるかもしれません。 でも不眠が一生続くことはありません。それに不眠が体の不調の原因となることはあっても、不眠自体で死ぬようなことはありません。拷問のように意図的に眠れないのであれば、話は違ってきますが、「眠ってはいけない」という環境ではないはずです。逆に眠るのも起きておくのも自由のはずです。「眠れないなら起きておけばいい」・・・それくらいの気持ちを持っていたほうが早く改善します。